改訂新版 世界大百科事典 「ズールカンプ会社」の意味・わかりやすい解説
ズールカンプ[会社]
Suhrkamp Verlag
1950年P.ズールカンプがフィッシャー社から分離独立する形でフランクフルトに創設したドイツの文芸出版社。歴史はそれほど古くないが現代文学関係では代表的な出版社の一つ。設立以来,H.ヘッセ,B.ブレヒト,T.アドルノ,E.ブロッホ,B.ショー,S.ベケット,M.プルースト,J.ジョイスなど内外の既成作家の作品や全集を出すかたわら,廉価なポケット判文芸叢書《エディツィオーン・ズールカンプ》や《ズールカンプ・タッシェンブーフ》を通じて中堅はもとより新人作家たちにも意欲的に発表の場を提供している。評価の落ち着いた現代文学を集めた叢書《ビブリオテーク・ズールカンプ》では日本の井上靖や川端康成の翻訳紹介も行っている。またあまり目立たないが,戯曲シリーズ《スペクタクルム》などを通じての演劇界に対する貢献も見逃せない。最近は学術的な部門に進出する傾向も見受けられる。
執筆者:井上 修一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報