日本大百科全書(ニッポニカ) 「セダカイタチウオ」の意味・わかりやすい解説
セダカイタチウオ
せだかいたちうお / 背高鼬鼠魚
humpback brotula
[学] Grammonus robustus
硬骨魚綱アシロ目フサイタチウオ科に属する海水魚。以前セムシイタチウオとよばれていたが、差別用語とみなされて日本魚類学会によって改名された。駿河(するが)湾以南の太平洋岸、東シナ海、フィリピン、紅海、アデン湾に分布する。体高は高く、後頭部が盛り上がり、後方に向かって強く側扁(そくへん)する。口は大きく、目の後方まで開く。両顎歯(りょうがくし)は小さく、幅広い歯帯を形成する。歯は鋤骨(じょこつ)(頭蓋(とうがい)床の最前端にある骨)にはあるが、口蓋骨にはない。鰓耙(さいは)は下枝に3本あるが、上枝にはない。吻(ふん)部を除く頭部と体は円鱗(えんりん)で覆われる。側線は体の中央部で中断し、上下に分かれる。背びれは胸びれの基底部よりも著しく後方から始まる。背びれと臀(しり)びれは尾びれとつながる。腹びれは前鰓蓋骨後縁下方付近から始まり、1軟条からなるが、先端が分枝した個体とそうでない個体、左右で異なる個体がある。体は一様に赤褐色~紫褐色。最大体長は約21センチメートル。水深20~350メートルに生息する。水深20メートルの光が届かない奥行きが深い洞穴から採集された記録がある。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]