星の明るさが変わる変光星の一種。ケファイド型変光星ともよばれる。星が膨張・収縮して大きさが変化し、その振動周期に応じて星の明るさが変わる脈動変光星である。セファイド型変光星には「変光周期が長いほど絶対等級(星の真の明るさを計るために約32.6光年離れたときの明るさと定義される)が明るい」という性質がある。この性質を利用して星までの距離を正確に測定できる。つまりセファイド型変光星の変光周期を観測して絶対等級を予測し、その絶対等級と見かけの等級を比較する方法で距離を推定する。この方法は年周視差による距離測定限界の1000光年より遠い星の距離測定に使われ、天文における距離測定の重要な手法である。このセファイド型変光星による距離測定の結果、アンドロメダ星雲(現在はアンドロメダ銀河とよぶ)が天の川銀河(銀河系)の外にあり、天の川銀河とほぼ同等の銀河であることがわかり、またほかの銀河との距離が測定できたことにより宇宙が膨張していることがわかった。
[編集部 2022年12月12日]
…運動星団の距離は,その収束点,視線速度,固有運動から直接導ける。したがって,運動星団を構成する星々,とくにセファイド型変光星の絶対等級が得られるから,それに基づいて他の散開星団や銀河の距離を測ることができる。その意味で運動星団は宇宙の距離尺度を与えている。…
…明るさが時間とともに変化する星。変光星の発見は,16世紀末ドイツの天文学者D.ファブリチウスによるくじら座のミラの発見に始まる。ファブリチウスは,1596年の8月くじら座にある2等星がだんだん暗くなっていき,その年の10月には肉眼ではまったく見えなくなってしまったことに気がついた。当時は,恒星はすべて位置も明るさも変わらないものと考えられていたので,非常に不思議なことと思われ,この星にラテン語で“驚き”という意味のミラという名がつけられた。…
※「セファイド型変光星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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