化学辞典 第2版 「セレン酸塩」の解説
セレン酸塩
セレンサンエン
selenate
MⅠ2SeO4.セレン酸塩はIUPAC命名法の許容する慣用名.付加方式命名法による体系名は,テトラオキシドセレン酸(2-)塩(tetraoxidoselenate(2-)).MⅠHSeO4(酸性塩)の体系名はヒドロキシドトリオキシドセレン酸(1-)塩.同族の硫酸の塩と同型のものが多く,水溶性なども似ている.セレン酸水溶液に金属の水酸化物,酸化物,または炭酸塩を溶かして濃縮すると得られる.亜セレン酸塩MⅠ2SeO3を塩素などで酸化しても得られる.K塩は,セレン化物またはSeO2をKNO3とともに溶融・酸化しても得られる.Pb,Baなどの塩は,可溶のアルカリ金属塩と各金属塩の複分解で得られる.正四面体型構造のSeO42-をもつイオン結晶.Se-O1.64~1.66 Å.∠O-Se-O108~111°.Pb,Baなどの塩は水に難溶.セレンミョウバンKAl(SeO4)2・12H2Oの結晶も存在する.硫酸塩より熱や還元剤に対して不安定である.Na2SeO4[CAS 13410-01-0]は毒性が強いが,微量は老化防止サプリメント,肥料・家畜飼料添加剤,園芸の殺虫剤などに用いられる.国内法規制情報についてはセレン酸を参照のこと.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報