日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゼブラウツボ」の意味・わかりやすい解説
ゼブラウツボ
ぜぶらうつぼ / ゼブラ鱓
zebra moray
[学] Gymnomuraena zebra
硬骨魚綱ウナギ目ウツボ科に属する海水魚。八丈島、屋久島(やくしま)、小笠原(おがさわら)諸島、南西諸島、台湾南部、南シナ海などインド洋・太平洋に広く分布する。体は細長く、側扁(そくへん)する。皮膚にはしわが多い。躯幹(くかん)部(胴部)は長く、肛門(こうもん)は体の中央よりもはるかに後方にあり、尾部長は全長の約30%。脊椎骨(せきついこつ)数は129~139本。頭は短く、全長は頭長の12~15倍。吻(ふん)は短く、丸い。上顎(じょうがく)は下顎よりもわずかに突出する。歯はすべて臼歯(きゅうし)で敷石状に並ぶ。背びれは鰓孔(さいこう)の上方のはるか後方から、臀(しり)びれは体の中央部よりも後方から始まる。両ひれは低くて厚い皮膚の下に隠されている。体は褐色~黒褐色の地色で、黄白色の幅の狭い多数の横帯で輪状に取り巻かれているが、いくつかの輪は不完全である。和名はこの輪状の縞(しま)模様に由来する。水深1~39メートルにすむが、通常は4メートルほどの浅いサンゴ礁の外側の裂け目、砂底や岩底に潜んでいる。臼歯状の歯で甲殻類、貝類、ウニ類などを砕いて食べる。最大全長は約150センチメートルに達するが、普通は50センチメートルのものが多い。雌性先熟型(雌から雄へ)の雌雄同体魚であると考えられている。
[尼岡邦夫 2019年11月20日]