日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソコボウズ」の意味・わかりやすい解説
ソコボウズ
そこぼうず / 底坊主
pudgy cusk-eel
[学] Spectrunculus grandis
硬骨魚綱アシロ目アシロ科に属する海水魚。青森県以南の太平洋岸、日本海溝、千島(ちしま)列島北部、アメリカのワシントン州沖、オーストラリア東岸、南アフリカ大西洋側など、世界の深海域に広く分布する。体は細長く、やや側扁(そくへん)する。頭が丸くて、坊主頭を連想することが和名の由来となっている。前鼻孔は輪状に肥厚する。両顎歯(りょうがくし)はすべて絨毛(じゅうもう)状の歯帯を形成する。鰓耙(さいは)は8~9本でよく発達する。背びれは胸びれの基底部よりも著しく後方から始まる。背びれと臀(しり)びれは尾びれとつながる。腹びれは2軟条で、前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)後縁下方付近から始まる。頭と体は完全に鱗(うろこ)で覆われる。体は白色で淡い桃色を帯びる。水深600~6300メートルにすみ、海溝付近の超深海からとれることが多い。稚魚は浮遊生活する。深海から知られているアシロ類のなかで特別に大きくなり、最大体長は2メートルほどになる。食用として利用されていない。
[尼岡邦夫 2016年10月19日]