日本大百科全書(ニッポニカ) 「そしゃく筋」の意味・わかりやすい解説
そしゃく筋
そしゃくきん
食物を細かくかみ砕いてすりつぶし、消化されやすい形状にかえるそしゃくにかかわる筋肉群の総称。そしゃく筋群は、咬筋(こうきん)、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋の四つで構成され、下顎(かがく)骨の下顎枝内面および外面に広がっている。顔面の浅層にある表情筋を浅頭筋とよぶのに対して、そしゃく筋は深頭筋ともよばれる。これらの筋はすべて三叉(さんさ)神経(下顎神経)に支配され、それぞれの筋は独自にあるいは相互に働きあって、そしゃくの際に必要となる下顎や下顎歯の動きをコントロールしている。下顎を挙上し口を閉じるように働くのが咬筋、側頭筋、内側翼突筋であり、咬筋および側頭筋は下顎を後方に引き戻すように働き、また内側翼突筋は下顎を反対側に引くように働いている。これらに対して外側翼突筋は口を開く際にも収縮し、下顎を前方へ押し出したり反対側に引いたりして働く。同時に臼歯(きゅうし)によって食物をすりつぶす運動にもかかわる。ほかに、下顎骨や側頭骨および舌骨の間にある舌骨上筋群も、そしゃくの運動にかかわっている。
[編集部 2016年7月19日]