その所を得る
そのものにふさわしい場所を、手に入れること。
[使用例] 渋い緑と、渋い茶と、二つの間色が映り合って、黄色人種の肌がいかにもその所を得、今更のように人目を惹く[谷崎潤一郎*陰翳礼賛|1933~34]
[由来] 「[孟子]―万章・上」にみえる逸話から。紀元前六世紀、春秋時代の中国でのこと。鄭という国の宰相、子産に、生きた魚を贈った人がいました。子産は、その魚を池で飼っておくように命じたのですが、池の番人は、煮て食べてしまいました。そして、「あの魚は初めは不安そうにしていましたが、やがて気持ちよさそうに泳いで行きましたよ」と報告する始末。子産はそれを聞いて、「其の所を得たるかな(ふさわしい場所に落ち着いたんだなあ)」と言って喜んだのでした。孟子によれば、立派な人物は、よい話ならばこのようにだまされてしまうこともありますが、悪い話にはけっしてだまされないそうです。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
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