ゾウミジンコ(その他表記)Bosmina longirostris

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ゾウミジンコ」の意味・わかりやすい解説

ゾウミジンコ
Bosmina longirostris

鰓脚綱双殻目ゾウミジンコ科 Bosminidae。体長 0.5mm内外。オーストラリアを除く世界各地の湖沼プランクトンとしてごく普通に見られる。前方に傾いた頭部に続く吻と長い第1触角がゾウを思わせるのでその名がある。耐久卵をもった雌の殻は背縁に近い部分が肥厚して卵を保護する。ごく近縁の種にカワリゾウミジンコ B. coregoni があり,北半球に広く分布する。なおゾウミジンコ科は長い第1触角をもつが,その長さ,曲がり方,殻の形態は,種による違いだけでなく,個体変異も著しい。たとえば,アジアからヨーロッパ東部,南北アメリカに分布するゾウミジンコモドキ Bosminopsis deitersi は第1触角の基半部が癒合しているのが基本形であるが,ときに離れていてゾウミジンコとの区別がつけにくい個体もある。(→甲殻類鰓脚類節足動物

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改訂新版 世界大百科事典 「ゾウミジンコ」の意味・わかりやすい解説

ゾウミジンコ
Bosmina longirostris

日本各地の湖沼にふつうに見られるプランクトン。前方にゾウの鼻のように突き出た第1触角があり,ゾウに似た形の頭部をもつ小型のミジンコで,枝角目ゾウミジンコ科の甲殻類。体長0.5mm内外で無色透明。オーストラリア以外の世界の淡水域に広く分布している。よく似た種類には,本州以北および北半球に広く分布しており,形態の変化に富むカワリゾウミジンコB.coregoniのほか,南北アメリカや東部ヨーロッパに分布しており,日本では北海道以南から九州までの各地の湖沼に夏季出現するゾウミジンコモドキBosminopsis deitersiなどがいる。
ミジンコ
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世界大百科事典(旧版)内のゾウミジンコの言及

【ミジンコ(微塵子)】より

…そのためコイやキンギョなどの養魚池では,昔から施肥を行い,人工的にミジンコを多量に発生させ,繁殖させている。北方の地にある湖沼では,ミジンコDaphnia,ゾウミジンコBosminaなどには,季節によって一定の形態変化が見られることが知られている。これを形態輪廻(季節変異)cyclomorphosisという。…

※「ゾウミジンコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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