日本大百科全書(ニッポニカ) 「タカ目」の意味・わかりやすい解説
タカ目
たかもく
鳥綱の1目。ワシタカ目ともいう。この目Falconiformesにはワシ、タカ、ハヤブサなどの昼行性猛禽類(もうきんるい)が含まれる。通常コンドル科Cathartidae、タカ科Accipitridae、ヘビクイワシ科Sagittariidae、ハヤブサ科Falconidaeの4科に分類されるが、人によってはミサゴ科Pandionidaeを認める場合がある。これらの諸科の鳥は、食肉性のために、鉤(かぎ)状に曲がった鋭い嘴(くちばし)と強力な足とつめをもっているのが特徴の一つである。また視力が非常によく発達している。しかし、コンドル科は、骨格および解剖学的特徴の一部がコウノトリ科と共通で、他の3科との類縁関係が疑問視されている。コンドル類とハゲワシ類(ハゲタカは俗称で、コンドルにもハゲワシにも用いる)は典型的な腐肉食者で、どちらも頭頸(とうけい)部が裸出している点は似ているが、ハゲワシは明らかにタカ科に属する。ワシとタカの区別は主として大きさによるもので、分類学的な根拠はない。ハヤブサ科は一見タカ科に似ているが、いろいろな解剖学上の特徴、風切(かざきり)の換羽の仕方、羽区の分布などの点で違いがある。とくに獲物の殺し方では、ワシタカ類が獲物を足でつかみ取るのに対し、ハヤブサ類では足も強力であるが、嘴を使って獲物の頸(くび)の骨を折る方法がとられる。以上のことから推察されるように、今日の昼行性猛禽類(タカ目)は、いくつかの異なる起源に由来するものかもしれない。
[森岡弘之]