ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハゲワシ」の意味・わかりやすい解説
ハゲワシ
old world vultures
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翻訳|vulture
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鳥綱タカ目タカ科に属するハゲワシ類の総称。この仲間には14種があり、アフリカ、ユーラシア南部に分布し、日本にはクロハゲワシAegypius monachusが迷鳥としてごくまれに渡来する。ハゲワシ類はいずれも大形で、全長約60~115センチメートル、翼開長は2.7メートルにも達する。体は灰褐色や黒褐色のものが多く、頭部には羽毛がない。嘴(くちばし)は先が鉤(かぎ)形に曲がって鋭いが、足指のつめは短い。主食は動物の死体で、砂漠や草原の上を飛びながら餌(えさ)を探す。大形の哺乳(ほにゅう)類の死体には、何種ものハゲワシ類がたくさん集まるが、嘴の太さが種によって異なり、種間で食べ分けをしている。ハゲワシ類には、シロエリハゲワシ、コシジロハゲワシなどがあり、エジプトハゲワシは、石をくわえてきてダチョウの卵に当てて割る習性をもち、道具を使う鳥として知られる。日本で記録のあるクロハゲワシは全長1メートル、全身黒褐色で大きい翼をもち、尾は短い。
ハゲワシ類の英名vultureは、南北アメリカに分布するコンドル科の鳥をさすときにも使われることがある。両者は形がよく似ているが、分類上は異なったグループである。なお、ハゲタカということばは動物の死体に群がるワシタカ類の一般的な呼称で、ハゲワシ類、コンドル科の鳥の両方に用いられる。
[高野伸二]
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