改訂新版 世界大百科事典 「タキミシダ」の意味・わかりやすい解説
タキミシダ
Anfrophyum obovatum Baker
靴べら状の葉をつけたシダ植物シシラン科の多年草。牧野富太郎が高知県須崎市上分の樽ノ滝を見物した時,岩上に着生しているのを見つけたので,その名がついた。常緑性。根茎は短く斜上し,披針形で茶色の鱗片をつける。葉は数枚束生し,有柄。葉身は長楕円形,基部はくさび形,先端は鈍頭または鋭頭,質は厚い。葉脈は網状。胞子囊群は葉脈の上を長くのびるややくぼんだ溝の中にあり,網目状になり,側糸がまざる。千葉・富山県以西の本州,四国,九州に分布し,川に近い林下の岩上にまれに生じる。
執筆者:加藤 雅啓
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報