タクディル・アリシャバナ(読み)たくでぃるありしゃばな(英語表記)St. Takdir Alisjahbana

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

タクディル・アリシャバナ
たくでぃるありしゃばな
St. Takdir Alisjahbana
(1908―1994)

インドネシアの代表的文学者。スマトラ島のタパヌリ出身。オランダ政庁の図書出版局編集長を経て、アミル・ハムザ、アルミン・パネらと近代文学運動をおこし、文芸雑誌『プジャンガ・バル』Pujangga Baruを1933年に創刊。同雑誌上で、インドネシアの文化を巡って文化論争が行われたが、アリシャバナは西欧合理主義を目ざした新しい文化を提唱した。日本占領時代はインドネシア語整備委員会の中心メンバーとなった。文学だけでなく、言語、文化、社会、哲学に関する論著が多数ある。私立ナショナル大学学長を務めるかたわら、バリ島にトーヤブンカ芸術センターを設立した。代表作に『火焔樹(かえんじゅ)』Layar Terkembang(1936)、『戦争と愛』Kalah dan Menang(1978)などがある。

[佐々木信子]

『木村操訳『火焔樹』(1978・学苑社)』『後藤乾一監訳『戦争と愛』(1982・勁草書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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