タジク国立公園〈パミール山脈〉(読み)タジクこくりつこうえん〈パミールさんみゃく〉

世界遺産詳解 の解説

タジクこくりつこうえん〈パミールさんみゃく〉【タジク国立公園〈パミール山脈〉】

2013年に登録された世界遺産(自然遺産)。タジキスタン東部、ヒンドゥークシ山脈を中心に、天山山脈崑崙(こんろん)山脈、カラコルム山脈というユーラシア大陸の最高峰が交差する「パミール結節」と呼ばれる約2万5000km2の地域。平均標高は5000~6000mに達するエリアながら、南西アジアから中央アジア、温帯から寒冷地帯、さらに多湿多雨地帯から砂漠までの多様な気候が存在し、季節による気温の変化が非常に大きい。氷河の景観の雄大さも特色で、1085の氷河があり、パミール高原北東部にある谷氷河、フェドチェンコ氷河は、北極圏・南極圏以外ではもっとも長い。また170の川と400以上の湖がある。特徴的な環境ゆえに、独特な生態系を育んでおり、マルコポーロシープやユキヒョウ、シベリアンアイベックスなど絶滅を危惧される哺乳類や鳥類なども生育している。一方、インド・オーストラリアプレートがユーラシアプレートを押し上げる造山活動によって、現在も毎年標高が高くなっており、プレートテクトニクスなどの研究対象としても有名。大地震も多いため、国立公園内の居住者は少なく、人の生活による影響を受けていない。◇英名はTajik National Park (Mountains of the Pamirs)

出典 講談社世界遺産詳解について 情報

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