改訂新版 世界大百科事典 「ダヌー」の意味・わかりやすい解説
ダヌー
Danu
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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アイルランドのケルト神話に現れる女神。ブリテン島ではドーンとよばれて豊饒(ほうじょう)をつかさどる大地神であるが、天神ビレ(ベリ)を夫とし、ダヌー神族の祖とされる。この神族では女神が支配的な意味をもつが、そのことは前インド・ヨーロッパ語族の遺産とされる。ダヌーの子らは優れた文化の担い手で、鍛冶(かじ)神ゴイブニュは神々の武器をつくるだけでなく、不死のビールを醸し、また建築の神でもある。このほかに、ローマのユピテルに比せられる「銀手のヌアダ」、諸芸の神グウィディオン、女神アリアンロッド、農業神アマエトン、大地の神で不思議な大鍋(なべ)の持ち主ダグダ、詩の神ブリギト、海神マナナンなどがダヌー神族に属する。
[谷口幸男]
…なかでもアイルランドの祖先といわれるマイリージアに敗れたトゥアハ・デ・ダナーンTuatha Dé Danann(女神ダヌーの種族の意)がしだいに神格化されていった。ダヌーDanuは豊饒と富の女神,ルーLughは太陽・光・知恵の神,リルLirは息子マナナンMananannと共に海の神であり常若(とこわか)の国の王である。またダグザDagdaは大地の神であり,オグマOgmaは雄弁・詩歌の神で,ケルト最古の文字オガム(オガム文字)の発明者とされ,エーンガス・オグAngus Ogは美・若さ・愛の神で,ヌアザNuadaは戦いの神でありモリガンMorriganは死と血を求め戦場を飛び回る戦いの女神とされ,これらの神々にまつわる話がさまざまに伝えられている。…
… 《侵略の書》によれば,前1500年ころ,相次いで5部族(パーソロン,ニュブズ,フィルボルグ,トゥアハ・デ・ダナーン,マイリージア)が渡来したと伝えられ,各部族の戦いによる支配交代の歴史が,古代神話を形づくっている。なかでもアイルランドの祖先といわれるマイリージアに敗れたトゥアハ・デ・ダナーンTuatha Dé Danann(女神ダヌーの種族の意)がしだいに神格化されていった。ダヌーDanuは豊饒と富の女神,ルーLughは太陽・光・知恵の神,リルLirは息子マナナンMananannと共に海の神であり常若(とこわか)の国の王である。…
※「ダヌー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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