改訂新版 世界大百科事典 「ダルマエナガ」の意味・わかりやすい解説
ダルマエナガ (達磨柄長)
parrot bill
スズメ目ヒタキ科チメドリ亜科ダルマエナガ属Paradoxornisの鳥の総称,またはそのうちの1種を指す。この属は約17種よりなる。大部分の種が全長10~20cm。多くは全体に褐色系のじみな羽色をしている。外観はエナガ類に似ており,丸っこい体に長い尾がついている。くちばしが短く,縦に平たいのが特徴。主としてヒマラヤから中国南部や東南アジアにかけて分布する。開けた林や低木林,竹やぶなどにすみ,茂みの間を巧みに移り渡りながら,昆虫や小型の種子などをとって食べる。秋・冬季には,最大50羽くらいまでの群れでくらし,ときにはシジュウカラ類の群れにも加わる。深いわん形の巣を草の繊維やタケの葉をクモの糸を使ってからませてつくり,1腹2~5個の卵を産む。抱卵,育雛(いくすう)は雌雄で行う。代表種のダルマエナガP.webbianusは同属のうちいちばん北まで,すなわち中国の大部分,台湾,朝鮮半島に分布する。
執筆者:樋口 広芳
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報