日本大百科全書(ニッポニカ) 「チケット販売」の意味・わかりやすい解説
チケット販売
ちけっとはんばい
ticket selling
消費者信用の一種で、間接割賦販売、代行割賦販売、取次割賦販売などともよばれる。チケット発行団体の発行するチケット(小切手式、切取り式=クーポン式、通帳式などがある)を利用し、消費者は発行団体と特約を結んでいる小売商から物品を購入する。小売商は消費者から受け取ったチケットを発行団体に還付し、手数料を差し引いた売上代金を一括払いしてもらう。消費者は発行団体に対し購入商品の代金を割賦で払い込む。したがって、もし代金回収が不能になったとしても、その損失は発行団体が負担するわけで、小売商にはなんの影響も出ない。
チケット発行団体には、株式会社組織の信販(クレジット)会社と、協同組合組織の専門店会とがある。前者は加盟小売店に、後者は組合員の小売商に販売を行わせる。これら発行団体は、企業や官庁と提携し、それらの構成員にチケットを交付し、給与から天引で割賦代金を回収するものが多い。このようなチケット販売は、家庭電化製品、洋服、家具、楽器のような耐久消費財の購入のために発展し、娯楽、飲食、レジャーへと拡大してきた。小売商には現金販売と同じであり、消費者には割賦販売の利点があるためである。1960年代以降にクレジットカードが急速に普及してきたため、タクシーチケットなどを除いて、チケット販売はみられなくなった。
[森本三男]