改訂新版 世界大百科事典 「チュクロバ」の意味・わかりやすい解説
チュクロバ
Çukurova
トルコ南部,アダナ,イチェル両県にまたがりセイハンSeyhan川,ジェイハンCeyhan川のデルタによって形成された平野。古名キリキア。面積約7500km2。西と北はトロス山脈,南は地中海,東は東南トロス山脈に囲まれる。気候が温暖で,アナトリア内陸部とメソポタミア地方を結ぶ通商路に位置するため,古くから諸民族の争奪の的となってきた。1515年以降オスマン帝国領土となったが,第1次大戦後チュクロバの一部がセーブル条約にもとづいてフランスに割譲された。しかし,トルコ軍の根強い抵抗によって1921年トルコに返還された。現在では灌漑化が進み(可能面積30万ha),気候条件にも恵まれ(平均年降水量1000mm。年平均気温20℃),トルコで最も肥沃な農業地帯となっている。主要農産物には綿花と小麦(トルコ全生産量の約15%)のほか,ナツメヤシ,ラッカセイ,オリーブ,ゴマ,米などがある。また畜産業も盛んで,チーズ,バター,ヨーグルト,ミルク,羊毛などの生産も多い。
執筆者:長場 紘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報