改訂新版 世界大百科事典 「チリダニ」の意味・わかりやすい解説
チリダニ
house dust mite
無気門亜目チリダニ科Pyroglyphidaeに属する小さなダニの総称。この科に含まれるヒョウヒダニ属Dermatophagoidesの各種は世界に広く分布し,その発生源も,動物の巣や体,貯蔵食品,医薬品,室内塵,ヒトの皮膚や頭髪に見いだされたり,人尿や喀痰(かくたん)に検出されたり多岐にわたる。体長0.1~0.4mm。体は扁平で卵形の胴部と長くよく発達した脚を有し,体表には指紋状の平行線紋理を有する。雄ダニでは胴部前後方に,雌ダニでは前方にのみ背甲板をもち,雄ダニは胴部腹面後方に明りょうな生殖吸盤を有する。日本ではヤケヒョウヒダニD.pteronyssinusとコナヒョウヒダニD.farinaeが室内塵中にふつうに見いだされる。これらのダニ類は抗原として作用し,気管支喘息(ぜんそく)やアレルギー性鼻炎の原因となっている。治療としては脱感作療法,予防としては室内の風通しをよくして乾燥させとくに寝室の掃除を十分に行う。その他,皮疹や人体内ダニ症の原因となる。
執筆者:金子 清俊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報