普及版 字通 の解説
5画
[字訓] けずる・いたる・ひくい
[説文解字]
[字形] 会意
氏(し)+一。氏は細長い曲刀の形。それで底を削って低平にする。〔説文〕十二下に「至るなり。本なり。氏に從ひ、下に一をく。一は地なり」(段注本)という。〔説文〕は氏十二下を土崩れの意とし、をその土崩れの土を平らかにする意とするものであろうが、氏は曲刀、その曲刀を以て、底辺を削って低くするので、底・低はみなに従う。砥(しれい)の砥もに従い、砥石(といし)を以て(と)ぐ意である。
[訓義]
1. けずる、底をけずる、底をけずり平らかにする。
2. いたる、底にいたる。
3. ひくい。
4. 柢(てい)と通じ、もと、根のもと。
5. 抵と通じ、おおよそ、おおむね。
6. 邸と通じ、やしき。
7. ・羌、夷狄の国。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕 羌なり、ヲカス 〔字鏡集〕 タネ・ムネ・トク・ヲカス・イタル・アハス・モト・エラブ・イササカ・アヤマル
[部首]
〔説文〕〔玉〕に同じく三字を属するが、みな用例のない字である。
[声系]
〔説文〕に声として牴・祗・詆・底・・抵・など二十二字を収める。おおむね低平の意であるが、ときに牴触(ていしよく)のように相争う意となるのは、力を以て削平するためであろう。
[語系]
・低・底・抵tyeiは同声。(砥)tjieiは砥を加えるもので、柔石をいう。至tjiet、致tiet、また臻tzhenはみな声近く、至る、致すの訓がある。
[熟語]
首▶・賤▶・惆▶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報