テトゥム族(読み)テトゥムぞく(その他表記)Tetum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テトゥム族」の意味・わかりやすい解説

テトゥム族
テトゥムぞく
Tetum

小スンダ列島東端にあるティモール島の住民。テトゥン族 Tetun,フェファン族 Fefanともいう。島中部インドネシア国境地域に住む南テトゥム族と北テトゥム族,および東ティモールに住む東テトゥム族に分かれる。20世紀末時点の人口は 30万以上と推定される。伝承では,先住民アトニ族を西部に追い出し,中央の肥沃地帯を占領し,政治的に優越した王国を建てたといわれ,アトニ族はテトゥム族をベル族の名で呼んでいる。形質的にも言語的にもマレー的要素とメラネシア的要素の混合がみられる。生業は丘陵部ではトウモロコシ陸稲の栽培とスイギュウの飼育,海岸部の平野では雑穀の栽培とブタの飼育が重要である。親族組織は,南テトゥム族は母系制,北テトゥム族と東テトゥム族は父系制である。父系社会では三つの氏族があり,行政上,儀礼上の職位を分担している。北および東テトゥム族では非対称的縁組制度(外婚制父系氏族間で一方向に女性が交換される制度)があり,婚姻に伴って財物の交換が制度化されているが,南テトゥム族にはこうした縁組制度は存在しない。(→ティモール島民

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