テースラン・ド・ボール(読み)てーすらんどぼーる(その他表記)Lèon Philippe Teisserence de Bort

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テースラン・ド・ボール」の意味・わかりやすい解説

テースラン・ド・ボール
てーすらんどぼーる
Lèon Philippe Teisserence de Bort
(1855―1913)

フランスの気象学者。アスマンとは独立に成層圏を発見した。パリ生まれ。父は大使・大臣などを務めた高官。1880年フランス中央気象台に入り、1883年に論文「大気活動の中心」を発表した。1892年に気象台を辞めたが資産家であったので、その後は主として私費により研究を進めた。1896年パリ郊外トラプーに私費で高層気象観測所をつくり、凧(たこ)や気球をあげて高層観測を続けた。その結果を1902年4月パリのアカデミーの雑誌『コント・ランデュ』Compte-Renduに「高度8~13キロメートルの間の自由大気中の温度変化」として発表。論文ではこの高度に温暖層のあることを明らかにし、これが成層圏の発見となった。アスマンが同様な論文を発表したのは同年5月『ベルリン・アカデミー報告』誌上であった。海洋気象図の出版のほか『国際雲図帖(くもずちょう)』の編纂(へんさん)、『気象力学の基礎』(全2巻、ヒルデブランドソンとの共著)などの著作がある。

根本順吉

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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