アスマン(読み)あすまん(その他表記)Richard Assmann

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アスマン」の意味・わかりやすい解説

アスマン
あすまん
Richard Assmann
(1845―1918)

ドイツ気象学者。マグデブルクに生まれる。初めは医学を志したが、気象学が好きでのちに転向し、1886年にはベルリンの気象台に招かれて気象課長になった。1887年に通風乾湿計考案。これは温度計の球部に大量の空気を吹き付けて、空気の真の温度と湿度とが測定できるようにくふうしたものである。高層気象観測に熱心で、初めはベルリンの郊外観測を行っていたが、1905年にリンデンベルクにできた高層気象台の台長となり、主として凧(たこ)と係留気球により観測した。1902年にはフランスのテースラン・ド・ボール発見した成層圏を追試して確認した。1884年に通俗気象雑誌『天気』Das Wetterを、1904年に学術雑誌『自由大気の物理学誌』Beiträge zur Physik der freien Atmosphäreを創刊した。

根本順吉

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改訂新版 世界大百科事典 「アスマン」の意味・わかりやすい解説

アスマン
Richard Assman
生没年:1845-1918

ドイツの気象学者。通風乾湿計を考案(1887)したことで知られており,成層圏の発見者の一人でもある。成層圏に関する彼の論文がベルリン科学アカデミーの報告に発表されたのは1902年5月で,テスラン・ド・ボールにおくれることわずか1ヵ月であった。マグデブルクの生れ。はじめ医学を勉強し開業した。しかし,気象が好きで,1880年マグデブルク新聞が私設の気象観測所を設立したとき,その運営に当たり,84年には通俗学術雑誌《天気Das Wetter》を創刊した。86年にはベルリンの気象台に入り,高層観測の研究をはじめ,郊外で凧(たこ)や係留気球による観測を行った。1904年国立の高層気象台がベルリン近くのリンデンベルクに設立され,初代の台長となった。
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百科事典マイペディア 「アスマン」の意味・わかりやすい解説

アスマン

ドイツの気象学者。マクデブルクの生れ。1905年リンデンベルク高層気象台初代台長。テスラン・ド・ボールと独立に成層圏を発見。アスマンの考案したアスマン通風乾湿計は,乾湿2本の水銀温度計の球部に,ばね仕掛の回転羽根で通風し,5分ぐらいで示度を読みとるもので,日射おおいもあり,野外の湿度測定に適する。
→関連項目乾湿計

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