ディオニュシオス偽書(読み)ディオニュシオスぎしょ(その他表記)pseudo-Dionysios

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディオニュシオス偽書」の意味・わかりやすい解説

ディオニュシオス偽書
ディオニュシオスぎしょ
pseudo-Dionysios

ディオニュシオス・ホ・アレオパギテスの名が冠せられている一連の著作『天上階序論』『教会階序論』『神名論』『神秘神学』と 10の書簡,1つの祈祷文をいう。これらの著作はアテネアレオパゴスパウロ説教を聞いて入信したといわれるディオニュシオスの作とされていたので中世を通じて注目され高い評価を得ており,アンチオキアの総大主教セルウェルス1世や教皇マルティヌス1世も権威あるものとして引用し,J.エリウゲナはギリシア語のテキストから翻訳し,注釈を加えた。サン・ビクトルのフゴ,ロバート・グロステスト,アルベルツスマグヌストマス・アクィナスもこれらの著作の信憑性を認めつつ注釈している。しかしキリスト教と新プラトン主義の調和をはかる大胆な試みであるこれらの書はキリスト教の正統な教義と一致しうるか否かは問題であり,著作年代もプロクロスの思想を含むところから少くとも5世紀終り頃のものと推定される。

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