プロクロス(読み)ぷろくろす(英語表記)Proclos

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロクロス」の意味・わかりやすい解説

プロクロス
ぷろくろす
Proclos
(411ころ―485ころ)

古代ローマ末期、ギリシア新プラトン学派の哲学者。リキアのクサントスの人。アテネプルタルコス弟子で、アカデメイアの学頭。プロティノスの体系を、いっそう細密化し図式化して体系化することによって、古代多神教に哲学的な基礎づけを与えた。プラトン著作への注釈ユークリッド『原理』への注釈のほか、『プラトンの神学』『神学綱要』などの著作が残る。ディオニシウス・アレオパギタへの影響、および彼の『神学綱要』に基づいてつくられた『原因論』Liber de causisを通じて、中世のキリスト教神学体系の構成に大きな影響を及ぼした。

[加藤信朗 2015年1月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロクロス」の意味・わかりやすい解説

プロクロス
Proklos

[生]410. コンスタンチノープル
[没]485. アテネ
新プラトン派 (アテネ派) の代表的哲学者。アレクサンドリアでオリンピオドロス,アテネでプラトンの後継者プルタルコスやシュリアノスに学び,のちアカデメイアを主宰した。博識,体系家,注釈家としてはきわめてすぐれた存在で,アレオパギタのディオニュシオスに多大の影響を及ぼした。著作『神学要綱』 Stoicheiōsis theologikē,『プラトン神学について』 Peri tēs kata Platōna theologias,『運命や摂理,悪についての小品集』 Opusculaなどのほかプラトンの『ティマイオス』『パルメニデス』『ゴルギアス』『ファイドン』『国家』などについての注釈,ヘシオドスの注釈などがある。

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