ディケ(その他表記)Dikē

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディケ」の意味・わかりやすい解説

ディケ
Dikē

ギリシア神話女神正義を神格化した存在で,ゼウスと掟の女神テミスとの結婚から生れたホライの一人。ヘシオドスの詩『仕事と日々』によれば,彼女オリュンポスに住む神々の間で特に敬われ,人間が不正を働くと,ゼウスのかたわらにすわって,人の心の悪を糾弾するという。

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世界大百科事典(旧版)内のディケの言及

【ギリシア神話】より

…このように形成された〈神々と人間どもの父〉ゼウスの宇宙的秩序こそギリシア的生がそこで営まれる枠組みにほかならない。ついで彼はテミスThemis(掟)をめとり,ホーライ(季節の女神たち),エウノミエEunomiē(秩序),ディケDikē(正義)などを生む。さらにデメテルによりペルセフォネを,レトによりアポロンとアルテミスとを得,最後にヘラと結婚し,彼女が正妻となる。…

【正義】より

… 正義の概念は古来から法と不可分の関係にあるとされてきた。ギリシアにおいて法を意味するディケdikēと正義を意味するディカイオシュネdikaiosynēは密接に結びついていたし,今日でもjusticeは正義という意味のみでなく司法,裁判所の意味を有している。
[正義論の対立]
 正義が均等や法と密接な関係にあるということは,正義がある秩序または調和を示す概念であることを示唆している。…

【ホーライ】より

…単数ではホーラHōraといい,英語hour(〈時間〉)の語源。ヘシオドスの《神統記》によれば,ゼウスとテミス(〈掟〉)を両親とするエウノミアEunomia(〈秩序〉),ディケDikē(〈正義〉),エイレネEirēnē(〈平和〉)の3女神とされるが,一般には季節の移り変りとともに訪れて,植物を生長させ,花を咲かせる女神たちと考えられ,アッティカ地方ではアウクソAuxō(〈成長〉),タロThallō(〈花盛り〉),カルポKarpō(〈実り〉)と呼ばれた。その後ヘレニズム時代になると,春夏秋冬の四季(もともと一年は春夏冬の三季に分けられたが,前5世紀中ごろより〈秋〉の語が使われ出す)そのものもホーライと呼ばれるようになり,美術作品ではそれぞれの季節を象徴する持物とともに表現された。…

※「ディケ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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