ディスカバリー号(読み)でぃすかばりーごう(英語表記)Space Shuttle Discovery

知恵蔵 「ディスカバリー号」の解説

ディスカバリー号

アメリカ航空宇宙局(NASA)が開発した有人宇宙往復船スペースシャトルのオービター(本体軌道機)。初飛行は1984年で、現役3機(他はアトランティス号、エンデバー号)の中で最も古い。ディスカバリー号が注目を集めたのは、88年9月の打ち上げである。発射直後の爆発事故で7人の犠牲者を出したチャレンジャー号悲劇(86年1月)で、スペースシャトル計画は3年近く凍結されていた。再開後初の打ち上げにディスカバリー号が成功し、米国内で高まっていたシャトル不要論をひとまず沈静化させたのである。また、2度目の惨事となったコロンビア号の爆発事故(2003年2月)後の初の打ち上げ(05年7月)も、ディスカバリー号であった。最新の打ち上げは09年3月16日午前8時43分(日本時間)で、その主なミッション「STS-119」は国際宇宙ステーション(ISS)への基幹部品(太陽光パネルなど)の取り付け作業・物資補給である。3度目の宇宙飛行となる若田光一もフライトエンジニアとして搭乗。第19次長期クルーとしてISSに約3カ月滞在し、科学実験などを行う。日本人飛行士はディスカバリー号だけでも、向井千秋野口聡一星出彰彦が搭乗しているが、長期宇宙滞在は初めてのことである。なお、81年のコロンビア号の成功で華々しく幕を開けたスペースシャトル計画は、10年度末(9月)をもって終了する予定。15年度から後継機による運行が計画されているが、その間のISSへの人員輸送はロシアソユーズが担うことになる。引退後のディスカバリー号はスミソニアン協会が引き取り、同施設内の国立航空宇宙博物館(ワシントンD.C.)に展示されることが決まっている。

(大迫秀樹 フリー編集者 / 2009年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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