日本大百科全書(ニッポニカ) 「デファント」の意味・わかりやすい解説
デファント
でふぁんと
Albert Joseph Maria Defant
(1884―1974)
オーストリアの海洋物理・大気物理学者。トリエント(現、イタリア領トレント)に生まれる。第二次世界大戦前はインスブルック大学、ベルリン大学の教授職にあり、当時海洋物理学研究の中心であったベルリン大学付属海洋研究所の所長を務めた。メテオール号による南大西洋海洋大観測(1925~1927)の後半を指揮し、また成果をまとめた「メテオール報告」の完成に尽力した。第二次世界大戦後は一時アメリカのスクリップス海洋研究所にいたが、のちヨーロッパに帰りインスブルック大学、ハンブルク大学、ベルリン自由大学(ベルリン大学の後身)などの教授を歴任。潮汐(ちょうせき)、内部波、海洋における水平・鉛直大循環、海洋の対流・成層圏、山谷風(やまたにかぜ)などについての多くの基礎的、理論的研究がある。その著『海洋物理学』Physical Oceanography(1961)はスベルドラップの『海洋』The Oceans, Their Physics, Chemistry and General Biologyと並び現代海洋物理学教科書の双璧(そうへき)といわれる。
[半澤正男]