メテオール号(読み)メテオールごう(英語表記)Meteor

改訂新版 世界大百科事典 「メテオール号」の意味・わかりやすい解説

メテオール号 (メテオールごう)
Meteor

長さ71m,排水量1150トンのドイツ軍艦を改装した観測船。1925-27年には大西洋を,28-35年にはアイスランド・グリーンランド海域を,37,38年には北大西洋の調査を行った。観測の成果は《メテオール報告》としてまとめられ,海洋物理学の発展に大きな影響を与えた。とくに,従来の探検型の観測から,あらかじめ碁盤目のように配置された測点で次々と決められた方法で行う計画型の観測へと道をひらいた功績は大きい。この名は長さ82m,排水量3054トンの西ドイツの調査船メテオールⅡに受け継がれ,64年に任務に就いて以来,数々の海洋調査に参加した。紅海底で,熱水起源の含金属沈殿物を発見し,熱水現象発見のさきがけをなしたことで有名。1986年にはメテオールⅡにかわって,長さ97.5m,排水量4780トンのメテオールⅢが就役した。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メテオール号」の意味・わかりやすい解説

メテオール号
めておーるごう
Meteor

(1)ドイツの海洋観測艦。1915年建造。排水量1150トン、乗組員114名、科学者10名。旧ドイツ海軍水路部の所属で、軍艦を改装したもの。当時の最新式の装備、海洋測器を取り付け、艦長シュピース、隊長メルツ(のちデファントに交代)の下、南大西洋海洋大探検(1925~1927)などを行った。観測の成果は、デファントが編集主幹となって16巻にまとめ、1932年から第二次世界大戦中の中断を経て1963年に完結した『メテオール報告』として刊行された。同書は海洋物理学の古典として評価されている。

(2)前者の名を受け継いだドイツ連邦共和国の海洋観測船。1964年建造。排水量2615トン、長さ82メートル、幅13.5メートル、乗組員55名、科学者10名。最新の海洋・海洋気象観測設備と10の研究室を有し、ハンブルクのドイツ水路研究所に所属する。大西洋、インド洋とそれらの付属海の観測に活躍している。

[半澤正男]

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百科事典マイペディア 「メテオール号」の意味・わかりやすい解説

メテオール号【メテオールごう】

1915年建造のドイツの軍艦・海洋観測船。1925年―1927年メルツの指揮下に南大西洋の海洋探検を行った船。大西洋を14回横断し,表層から深海に至る多く断面で精密な海洋物理学的観測を行い,海洋の水平・垂直の大循環を明らかにした。報告書16巻がある。
→関連項目海洋探検

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世界大百科事典(旧版)内のメテオール号の言及

【海洋学】より

… 海についての組織的な科学的研究は,1872年より5年にわたってなされたチャレンジャー6世号の探検をもって始められたといえる。1925年に始まるメテオール号の観測は,探検型の観測から定型型の観測への転換をした点で海洋研究に第2期を画した。現象を見いだすための研究の時代から,現象についての空間構造や時間的経過を追究する時代への移行である。…

※「メテオール号」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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