日本大百科全書(ニッポニカ) 「デプシド」の意味・わかりやすい解説
デプシド
でぷしど
depside
数分子のフェノールカルボン酸(ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゼンカルボン酸ともいう)が、一方のカルボキシ基と他方のフェノール性ヒドロキシ基とでエステル結合している化合物の総称。フェノールカルボン酸以外にキナ酸などを含む場合がある。デプシドはタンニン類や地衣類の成分として天然に存在し、タンニンは多くの場合、没食子酸(ぼっしょくしさん)を含み、地衣類のデプシドはオルシンを含んでいる。
たとえば没食子のタンニンは二没食子酸の5個のヒドロキシ基がすべてグルコースと結合した配糖体(グリコシド)である。デプシドは1分子中に含まれるフェノールカルボン酸単位の数により、ジデプシド(2個)、トリデプシド(3個)、テトラデプシド(4個)に分類される。
[廣田 穰]