改訂新版 世界大百科事典 「デュファイユ」の意味・わかりやすい解説 デュ・ファイユNoël Du Fail生没年:1520?-91 フランスの物語作家。ブルゴーニュ地方の貴族で有能な裁判官であったが,生涯にわたって農村を舞台にした小話集を書き綴った。《田園閑談》(1547)は樫の木陰で村の長老たちが語り合う昔話を記録し,《よしなし草》(1548)は作者の分身などが村の中で遭遇したできごとを集めたという体裁をとったものである。いずれも精密な田園生活の描写において優れ,方言を活用した生き生きした文体はラブレーの影響の大きさを思わせる。内容的には過去のよき時代を懐かしむテーマが主調となっている。晩年に発表された《ユートラペル小話集》(1585)は,時代の変動を嘆く声ばかりが耳につく訓話集で,生彩に欠けている。執筆者:山本 顕一 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by