デュファイユ(英語表記)Noël Du Fail

改訂新版 世界大百科事典 「デュファイユ」の意味・わかりやすい解説

デュ・ファイユ
Noël Du Fail
生没年:1520?-91

フランスの物語作家。ブルゴーニュ地方の貴族で有能な裁判官であったが,生涯にわたって農村を舞台にした小話集を書き綴った。《田園閑談》(1547)は樫の木陰で村の長老たちが語り合う昔話を記録し,《よしなし草》(1548)は作者分身などが村の中で遭遇したできごとを集めたという体裁をとったものである。いずれも精密な田園生活の描写において優れ,方言を活用した生き生きした文体ラブレーの影響の大きさを思わせる。内容的には過去のよき時代を懐かしむテーマが主調となっている。晩年に発表された《ユートラペル小話集》(1585)は,時代の変動を嘆く声ばかりが耳につく訓話集で,生彩に欠けている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android