日本大百科全書(ニッポニカ) 「デ・ロベルティ」の意味・わかりやすい解説
デ・ロベルティ
でろべるてぃ
Евгений Валентинович Де Роберти/Evgeniy Valentinovich De Roberti
(1843―1915)
ロシアの社会学者。祖先はフランスからの帰化人。ポドリアに生まれ、ドイツの大学とペテルブルグ大学に学ぶ。パリの社会科学自由学校とブリュッセル自由大学で教え、1909年サンクト・ペテルブルグの心理神経学研究所教授。1906年には自分の住む地方の名士会議で貴族の特権の廃止を提案した。オーギュスト・コントのロシアにおける信奉者であるが、コントの学説を批判的に継承し、新実証主義の樹立に努めた。主著の一つ『社会学の新しいプログラム』(1904)では、「新実証主義の認識形而上(けいじじょう)学的命題」が示され、哲学の発展により社会の発展を説明したコントを批判し、いっさいの認識が生物学的個人の機能として主観的であると同時に、社会集団の機能として客観的であるとした。また倫理学は規範的でなく説明的になる限り、「行為の社会学」以外ではありえないとした。ほかに『社会学』(1880)、『行為の社会学』(1908)などの著書がある。
[古賀英三郎]