日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
トゥグルク・ティームール
とぅぐるくてぃーむーる
Tughluq Timur
(1329/30―62/63)
チャガタイ・ハン国の君主(在位1347/48~1362/63)。チャガタイ・ハン国は、遊牧派と定住派の対立から、1340年代には完全に東西に分裂したが、東チャガタイ・ハン国(モグリスタン・ハン国)のハンとなった彼は、二次にわたる(1360、61)西チャガタイ・ハン国への軍事遠征によって、国の再統一に成功した。統一は一時的なものであったが、これが、ティームール朝の創始者ティームール台頭の契機となった点からも、その歴史的意義は大きい。また、彼は、イスラム教を受容した君主としても名高く、即位後、スーフィズムの影響を受けて自らイスラム教徒となり、配下のモグール(モンゴル・トルコ系遊牧民)16万人を改宗させたと伝えられている。
[堀川 徹]