ルーマニア南西部,セルビアとの国境近くのドナウ川沿いの都市。人口11万0086(2005)。メヘディンチ県の県庁所在地。ローマ時代の古名ドロベタDrobetaを冠し,ドロベタ・トゥルヌ・セベリンDrobeta-Turnu Severinが正称である。ドナウ川が西カルパチ山脈を横断する地帯を〈鉄門〉といい,峡谷をつくり川は急流をなしていたが,1971年,鉄門地帯にユーゴスラビアと共同でドナウ川最大の鉄門ダムが造られ,鉄門湖が完成した。トゥルヌ・セベリンはこの鉄門ダムの下流8kmに位置する。はじめダキア人の定住地であったが,2世紀はじめにローマの支配下に入り,セウェルス帝のときローマ人が移住し要塞が築かれた。13~15世紀にはこの地方の強力な要塞都市として発展した。1833年,現在の都市の基礎造りが行われ,19世紀後半,ドナウ川中流域の河港都市になった。現在,造船をはじめ,車両,建設資材,木材加工,食品,家具などの工業がある。ローマ時代の橋の遺跡や城跡が残る。公園や博物館も整っている。
執筆者:佐々田 誠之助
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
ルーマニア南西端、メヘディンチ県の県都。古称ドロベタ、正称ドロベタ・トゥルヌ・セベリン。セルビアとの国境を流れるドナウ川の下流左岸に臨む港湾都市。旧ユーゴスラビアとの共同で建設されたドナウ鉄門ダムの下流に位置する。人口10万4035(2002)。造船、木材加工、食品の各工業がある。ローマ皇帝セプティミウス・セウェルス(ルーマニア名セベル)の時代にこの地にドロベタ城が築かれ、地名は皇帝の名にちなむ。13~15世紀には要塞(ようさい)都市として発展。現在の町は1833年に建設された。ローマ時代の橋や城の跡が残る。市内に広大なバラの花壇があることで有名。
[佐々田誠之助]
「ドロベタトゥルヌセベリン」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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