岩石学辞典 「トナル岩」の解説 トナル岩 石英閃緑岩(quartz diorite)と密接に関係する粗粒な深成岩で,黒雲母と角閃石を有色鉱物として含み,長石ではアンデシンが最も多く,副成分として石英を容量比で5~10%含んでいる[vom Rath : 1864].少量の正長石がマイクロペグマタイトとして存在するが,ヨハンセンの鉱物容量比による区分では,トナル岩は花崗閃緑岩よりも正長石量が少ないものとしている[Johannsen : 1932].使用法は様々で,ブレガーはトナル岩は石英閃緑岩と同義としているが[Brögger : 1895],ベイリーは正長石が長石量の1/3以下のものとしている[Bailey & Maufe : 1916].SiO2に乏しい鉱物として黒雲母の量が多いが,多少の石英が含まれ,全SiO2量はかつて酸性岩と中性岩の境とされた66%よりもあまり高くない.北米では石英が20%以上のものを意味しているが,英国では石英が少量のものをいう.少量の正長石が存在するが,花崗閃緑岩におけるよりも少ない.イタリア,チロル地方のトナル山(Monte Tonale)に因む.石英閃緑岩(quarts diorite)[Zirkel : 1866]. 出典 朝倉書店岩石学辞典について 情報