長石(読み)ちょうせき(英語表記)feldspar

翻訳|feldspar

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

長石
ちょうせき
feldspar

カリウム,ナトリウム,カルシウム,バリウムのアルミノケイ酸塩鉱物で,岩石を構成する最も普遍的な鉱物。 (K,Na,Ca,Ba)(Al,Si)4O8 。結晶構造上,Si4+ の一部分が Al3+ によって置換され,それによる荷電の変化をちょうど中和するように,SiO4 四面体の間のすきまに K+ ,Na+ ,Ca2+ ,Ba2+ などが入っている。天然に産する長石は大部分,KAlSi3O8 (カリウム長石) ,NaAlSi3O8 (ナトリウム長石) ,CaAl2Si2O8 (カルシウム長石) を端成分とする3成分系に属する。 KAlSi3O8-NaAlSi3O8 および NaAlSi3O8-CaAl2Si2O8 は連続固溶体を形成し,それぞれの系列をアルカリ長石および斜長石と総称する。アルカリ長石正長石 (カリウム長石,カリ長石) で代表され,酸性の火成岩 (花崗岩,石英斑岩,流紋岩) の主成分鉱物で,桜色の花崗岩 (桜御影) の淡紅色鉱物は正長石である。斜長石は中性,塩基性の火成岩の主成分鉱物で,日本の酸性岩には含まれることが多い。ナトリウムとカルシウムの比は連続的に変化し,酸性岩から塩基性岩になるにつれて,ナトリウムの多いものからカルシウムに富む斜長石が多くなる。ナトリウム,カルシウムを主成分とする斜長石をそれぞれ曹長石灰長石といい,ナトリウムとカルシウムをほぼ等量含む斜長石を中性長石という。陶磁器の原料の陶土は長石の風化したものである。

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百科事典マイペディアの解説

長石【ちょうせき】

最も重要な造岩鉱物。化学組成がCa,Na,Kなどのアルミノケイ酸塩からなる鉱物の一群で,フレームワーク(網状)構造をもつケイ酸塩鉱物として代表的なもの。ふつう成分を表すのにOr=KAlSi3O8カリ長石),An=CaAl2Si2O8(灰長石),Ab=NaAlSi3O8(ソウ長石)などの記号を用い,AbとAnはあらゆる割合で固溶体(斜長石)をつくる。まれにCe=BaAl2Si2O8(重土長石)の組成の長石もある。単斜晶系または三斜晶系で,どちらの場合もへき開の完全な短柱状結晶を示し,へき開面でいろいろな双晶をつくる。物理的性質はきわめて類似した共通性を示し,硬度6〜6.5,比重2.56〜2.76,色は白色または黄・淡紅・淡緑色など。高温型と低温型があり,前者は火山岩中に,後者は他の岩石中にみられる。長石はほとんどすべての火成岩中で重要な役割を果たし,長石の組成によって火成岩が分類される。変成岩においても主要構成鉱物であり,砂質堆積岩にも相当量含まれる。変質作用によって絹雲母,カオリンなどの粘土鉱物に変わる。
→関連項目ムーンストーン

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世界大百科事典 第2版の解説

ちょうせき【長石 feldspar】

地殻を構成する最も重要な造岩鉱物の一つ。月の岩石や隕石中にも広く見られる。化学組成は,一般にMT4O8で表され,MはCa,Na,K,Ba,またTはAl,Siである。天然に産する長石は,ほとんどCaAl2Si2O8(アノーサイト,An),NaAlSi3O8(アルバイト,Ab),KAlSi3O8(カリ長石,Or)を端成分とする三成分系に属し,その組成はOrxAbyAnz(xyz=100)のように表現される。

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大辞林 第三版の解説

ちょうせき【長石】

ナトリウム・カルシウム・カリウムなどのアルミノケイ酸塩鉱物。造岩鉱物としてたいていの岩石に含まれ、ガラス光沢があり、ほぼ白色。三斜晶系に属するものと単斜晶系に属するものとがある。成分元素によって、斜長石・カリ長石などに分ける。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

長石
ちょうせき
feldspar

地殻を構成する鉱物のうち、もっとも存在量が多い鉱物。アルカリ金属、アルカリ土類金属を主成分とするアルミノ珪酸塩(けいさんえん)鉱物で、アルミニウムとケイ素の比は1対3から2対2までの範囲にある。長石のうちよくみられるものは斜長石グループとカリ長石グループで、前者は三斜晶系に属し、ナトリウムを主成分とする曹長石から、カルシウムを主成分とする灰長石まで組成が連続する。後者には、単斜晶系の玻璃(はり)長石、正長石と三斜晶系の微斜長石が含まれる。ほかに、アルカリ金属を主成分とするアノーソクレース、バリウムを主成分とする重土長石celsian、ストロンチウムを主成分とするスローソン石slawsoniteがある。ほとんどの長石には生成温度による結晶構造の変化、温度の低下によって異なる二つの相に分離する離溶現象、双晶の出現といった性質が現れる。外観は、多少色がついているが、ほぼ白色で、板状、柱状の結晶形をしていることが多い。また、二方向の劈開(へきかい)が完全である。したがって外観で長石類を区別することは困難で、産状による識別が有効なことがある。英名のフェルスパーというのはスウェーデン語に由来し、漂礫(ひょうれき)土中の劈開がよく発達している石という意味である。[松原 聰]

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