翻訳|orthoclase
カリ長石の一種。アルミニウムとケイ素が完全に無秩序に配列して単斜晶系になっている玻璃(はり)長石(サニディン)から、一部秩序的に配列してなお単斜晶系を保っている狭い意味での正長石(オルソクレース)までをさすことがある。さらに秩序配列が進めば三斜晶系の微斜長石になるので、厳密な意味での正長石の存在はたいへん限られている。カリウムを置換してナトリウムが入りうるが(曹長石成分にして約50パーセントモルまで)、カリウムの多い部分とナトリウムの多い部分が離溶して細かい縞(しま)模様をなすことがあり、これをパーサイトという。花崗(かこう)岩など酸性深成岩、半深成岩の重要な構成鉱物として産する。花崗岩質ペグマタイト中には巨大な塊や自形結晶がみられる。氷長石とよばれるものは、だいたいが正長石に属すると考えてよく、熱水性鉱脈の脈石鉱物として産する。ほかに片麻岩、スカルン、結晶片岩を切る脈、変成層状マンガン鉱床、石灰岩あるいは苦灰岩中に自生鉱物として産する。微斜長石、玻璃長石とは外観上区別はできないが、産状によって後者とはある程度識別が可能である。陶磁器やガラス原料として重要である。とくにペグマタイト、アプライト、花崗岩の風化分解物(サバ石)、石英粗面岩質岩などから採掘される。英名は劈開(へきかい)が直交することから、きちんとした割れ口の意味のギリシア語に由来する。
[松原 聰]
カリ長石KAlSi3O8の一種。カリ長石には高温サニディン,サニディン,正長石,マイクロクリンの4種類があり,前者ほど高温で安定であり,構造中のSiとAlの配列が無秩序である。正長石は深成岩や比較的高温の変成岩によく見られる。カリ長石はアルバイトとの間に固溶系列をつくり,アルカリ長石と総称される。高温サニディン,サニディン,正長石は単斜晶系に属するが,マイクロクリンはSiとAlの秩序化が進んだため三斜晶系である。へき開は{001},{010}に良好。比重2.56,モース硬度6。ガラス光沢を有し,色は無色~白またはピンク色。明るい緑色を呈するアマゾナイト,しばしば美しい特徴ある結晶として産するアデュラリア(氷長石)もカリ長石の一種である。
執筆者:田賀井 篤平
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[カリ長石]
KAlSi3O8(Or)。結晶構造上の違いによって,高温サニディン,低温サニディン,正長石,マイクロクリンに分けられる。違いは,主として結晶構造中のAlとSiの並び方の秩序度による。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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