とらばさみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「とらばさみ」の意味・わかりやすい解説

とらばさみ

獣類を捕獲するための法定猟具。鳥類には使用が禁止されている。とらばさみはトラップtrapの転訛(てんか)。鋼鉄製で、強いばねの弾力を利用し、獲物の足や首などを挟む仕掛け。獲物の通路上に落ち葉などで隠して装置し、踏むと支点が外れて獣体を捕捉(ほそく)する。新鮮な獣の足跡を注視してたどり、かならず踏むと見込んだ個所に架設しないと効果が少ない。餌(えさ)(ニワトリの頭など)をとらばさみの上にのせておき、獲物がこれを食おうとしたとき掛かるように仕掛けることもある。タヌキアナグマキツネなど穴居獣を捕獲するには、穴をみつけて入口に仕掛けることもある。

 とらばさみの形式は種々あるが、100年以上前から使われているアメリカのオネイダ・ビクター・トラップが著名。大きさは獲物によって異なるが、日本では、開いた直径が12センチメートル以上のものと鋸歯(きょし)のあるものは、人に対する危険性が高いので禁止されている。したがって通常タヌキ以下の小型獣に使用され、イタチの捕獲に使用する場合が多い。使用には甲種狩猟免許が必要である。

[白井邦彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のとらばさみの言及

【狩猟】より

…おもにウサギの通路に仕掛けるが,餌で寄せる場合もある。またトラバサミも多く使用される。これは獣が踏むと足をはさむわなで,危険性から鋸歯のついたもの,直径12cm以上のものは禁止されている。…

【わな猟(罠猟)】より

…鳥獣を捕獲するための装置による猟法。古くから諸民族の間に広く用いられてきた猟法で,その方法はきわめて多種多様で変化に富んでいる。弓矢,槍,吹矢,鉄砲などによる積極的な猟法に対して,わなは獲物の通り道に設置し,獲物がこれに気づかずに通過する際に捕らえようとする設備である。落し穴,くくりわな,箱わな,圧殺わな,とらばさみなどに分類することができるが,獲物の大きさや習性,立地条件などに応じて,それぞれ多様な変化形がみられ,これらを組み合わせたものがくふうされる。…

※「とらばさみ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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