日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラフィックチャネル」の意味・わかりやすい解説
トラフィックチャネル
とらふぃっくちゃねる
traffic channel
鉄道の駅、空港、高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)など、交通の要衝で人通りが多い商業施設への販路のこと。駅、空港、SAなどに設けられた商業スペースそのものをさす場合も多い。東日本旅客鉄道(JR東日本)や東京地下鉄(東京メトロ)の駅ナカ商業施設「ecute(エキュート)」「Echika(エチカ)」のほか、東名や新東名などの高速道路のSAにある商業施設「EXPASA(エクスパーサ)」「NEOPASA(ネオパーサ)」などが該当する。
衣料・雑貨のセレクトショップを展開するユナイテッドアローズが2010年(平成22)から空港、駅、高速道路のトラフィックチャネルへ積極的に出店を始め、アパレル業界を中心とした小売業界で新たな販路として注目されるようになった。このほか百貨店、スーパーマーケット、食料品店、総菜店などの出店が急増している。スペースに限りがあるため、小型店舗が多いが、集客力のある公共空間を利用するため、売り場面積あたりの販売効率が高いとされている。
国鉄に続き、2005年に日本道路公団が分割・民営化され、JRや高速道路各社が伸び悩む輸送・料金収入を補うために、商業テナント事業に力を入れ始めた。また、規制緩和で駅ナカやSA、PAへの多様な店舗出店が可能になったほか、一般道からの利用が容易になったこともトラフィックチャネルが注目されるようになったことにつながっている。ただし、駅ナカが通勤・通学途上のリピーターを客層とするのに対し、空港、SA、PAは「非日常性」を求める旅行客や行楽客が対象であり、それぞれ異なるマーケティング戦略が必要とされる。このため空港、SA、PAでは、そこでしか入手できない独自商品を販売し、非日常的な土産(みやげ)の需要を喚起するくふうがなされている。また、トラフィックチャネルは平日と休日で客層や来客数が大きく異なるため、こまめに商品構成を変更することや、短時間で商品を補充することなどが求められ、一般の販路よりも経費がかさむとされている。
[編集部]