日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリッシーノ」の意味・わかりやすい解説
トリッシーノ
とりっしーの
Gian Giorgio Trissino
(1478―1550)
イタリアの詩人、劇作家。ビチェンツァの貴族の家に生まれる。ミラノでギリシア語を、フェラーラで「哲学に関するほとんどあらゆる学問」を修めた。ルネサンス期の最初の正統的悲劇『ソフォニズバ』(1524)、大作の史詩『ゴート族から解放されたイタリア』(1547)、喜劇『瓜(うり)二つ』(1548)などの作品はいずれも文学ジャンル、正字法、作詩、修辞学などに関する先鋭な理論家トリッシーノの実践の作である。ダンテの『俗語論』のイタリア語訳(1529)、対話集『カステッラーノ』(1529)において「共通イタリア語」問題を追究し、各地の方言の総合による「宮廷語」を提唱して歴史的な言語論争に一石を投じた。
[望月紀子]