日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
トータリゼーター・システム
とーたりぜーたーしすてむ
totalizator system
トータリゼーターとは、賭(か)け金(きん)の集計や払戻し金の計算、表示をする機械設備のことだが、システムという場合は、ブックメーカー・システムと対照的な賭けのやり方のことで、現在日本をはじめ世界中の国々の競馬、ドッグレース、競輪など公認の賭け事の投票券の発売は、この方式で行われている。1865年フランスで、スペイン系のジョセフ・オレールが発明した方式で、当時フランスではパリ・ミュチュエルPari mutuel(お互い同士の賭けという意味)の名称でよばれた。賭け事に参加した人々は思い思いに金銭を賭けるが、的中した場合、払戻し金は、負けた人々の賭け金の合計を、的中した人々が、賭け金の額に応じて公平に案分して受け取る仕組みである。主催者は集計、支払いを正確に行い、配当金から法定の手数料を徴収する。
このシステムは、主催者があらかじめ払戻し金の倍率を約束するブックメーカー・システムに比べ、合理的にできている。このシステムの発明によって、競馬やドッグレースなど、多数の観客を集めて開催する公認の賭け事が、急激に世界中に普及したといわれる。
[倉茂貞助]