改訂新版 世界大百科事典 「トーヒュー」の意味・わかりやすい解説
トー・ヒュー
To Huu
生没年:1920-2002
ベトナム共産党の指導者,詩人。本名グエン・キム・タインNguyen Kim Thanh。中部ベトナムのトゥアティエン省に生まれ,フエの高校在学中から青年民主運動で活動し,抗仏運動に入った。18歳でベトナム共産党に入党,39年に逮捕されたが,42年に脱獄後トー・ヒューの名で政治誌に詩を発表し,革命派詩人として知られはじめ,以後政治家としてもこの筆名を名のった。45年の八月革命ではフエの奪権闘争を指導し,独立後共産党内でしだいに地歩を築き,51年中央委員,書記局員となった。56年インドシナ戦争期の作品を集めた詩集《越北》を出版して詩壇に指導的地位を確立した。また情報次官から文化次官に転じ,文学界におこった〈人文・佳品〉事件に端を発した詩人や作家の反革命に対する整風運動を指導した。のち党の宣伝教育部長を経て副首相(1980),政治局員(1981)となり,閣僚評議会と党の双方で要職を占めた。作品の多くが普通教育の国語教科書に採用されているが,詩集に《越北》のほか《それから》(1959),《疾風》(1961),《前線へ》(1972)などがある。
執筆者:川本 邦衛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報