疾風(読み)ハヤテ

デジタル大辞泉 「疾風」の意味・読み・例文・類語

はや‐て【疾風/早手】

《「て」は風の意》
急に激しく吹く風。寒冷前線に伴うことが多い。陣風。しっぷう。「―のごとく通り過ぎる」
《かかるとすぐ死ぬところから》疫痢えきり
(疾風)旧日本陸軍の単座戦闘機。制式名称は四式戦闘機。昭和18年(1943)初飛行。最大時速687キロ。
[類語](1突風疾風しっぷう雨風波風風浪風雪風雨無風微風そよ風軟風強風烈風大風颶風暴風爆風ストーム台風ハリケーンサイクロン神風砂嵐つむじ風旋風竜巻トルネード追い風順風向かい風逆風横風朝風夕風夜風春一番春風しゅんぷう春風はるかぜ花嵐薫風風薫る緑風やませ涼風すずかぜ涼風りょうふう秋風野分き木枯らし空風寒風季節風モンスーン貿易風東風ひがしかぜ東風こち西風偏西風南風みなみかぜ南風はえ凱風北風朔風松風まつかぜ松風しょうふう山風山颪谷風川風浜風潮風海風陸風熱風温風冷風

はやて[列車]

東北新幹線北海道新幹線で運行されている特別急行列車の愛称。平成14年(2002)盛岡・八戸間延伸に合わせて運行開始、平成22年(2010)新青森まで延伸。平成28年(2016)より北海道新幹線でも運行。東京・盛岡間、盛岡・新青森間、盛岡・新函館北斗間を結ぶ。

はや‐ち【疾風】

《「ち」は風の意》「はやて1」に同じ。
「名恐ろしきもの、…―、ふさう雲、鉾星ほこぼし」〈・一五三〉

はやち‐かぜ【疾風】

はやて1」に同じ。
「花を吹きまく―」〈浄・井筒業平〉

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精選版 日本国語大辞典 「疾風」の意味・読み・例文・類語

はや‐て【疾風・早手】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 「て」は風の意 ) 急に激しく吹き起こる風。陣風。しっぷう。はやてかぜ。はやちかぜ。はやちのかぜ。はやち。
    1. [初出の実例]「はやてもりうの吹かする也」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. ( かかると直ぐ死ぬというところから ) 疫痢の異称。
    1. [初出の実例]「小児暴瀉し頓に死するもの多し、(府下の庸医はやてといふにや)」(出典:随筆・塩尻(1698‐1733頃)六八)
  4. 短期間に相場が激変すること。
    1. [初出の実例]「多葉粉二三腹呑間に大高下来るを早手と言」(出典:稲の穂(1842‐幕末頃))
  5. ( 疾風 ) 旧日本陸軍の四式戦闘機の通称。昭和一八年(一九四三)四月初飛行。単発単座。最大時速六二四キロメートル、航続距離一二五五キロメートル。

しっ‐ぷう【疾風】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 速い風。勢いよく吹く風。はやて。
    1. [初出の実例]「暗に疾風の影を追ふ」(出典:将門記(940頃か))
    2. 「小犬が駱駝(らくだ)の周囲を疾風の如く廻転して」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八)
    3. [その他の文献]〔戦国策‐趙策上・恵文王上〕
  3. 風力段階の一つ。木の枝を動かす程度の風で、秒速六~一〇メートル。

はや‐かぜ【疾風】

  1. 〘 名詞 〙 急にはげしく吹きおこる風。はやて。
    1. [初出の実例]「吾必ず迅風(ハヤカゼ)洪濤(をほなみ)を起(たて)て、其をして没溺(をほ)し辛苦(たしな)ま令めむ」(出典:日本書紀(720)神代下(丹鶴本訓))

はや‐ち【疾風】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ち」は風の意 )
  2. はやて(疾風)〔十巻本和名抄(934頃)〕
  3. 飛脚。
    1. [初出の実例]「疾風(ハヤチ)。後世の飛脚也」(出典:神代巻講義(1680)下)

はやち‐かぜ【疾風】

  1. 〘 名詞 〙はやて(疾風)
    1. [初出の実例]「花を吹きまくはやちかぜ」(出典:浄瑠璃・井筒業平河内通(1720)怨霊振分髪)

とき【疾】 風(かぜ)

  1. はやい風。つむじ風。疾風。〔観智院本名義抄(1241)〕
    1. [初出の実例]「羅の表紙ひもの玉ゆらときかぜは天の河原にくもやまくらむ」(出典:来田本拾遺愚草員外(1240頃))

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普及版 字通 「疾風」の読み・字形・画数・意味

【疾風】しつぷう

はやい風。あらし。〔後漢書、王覇伝〕、從ひて洛陽に至る。~光武、に謂ひて曰く、潁川に我に從ひしは、皆けり。而るに子獨り留まる。努力せよ。疾風、勁を知ると。

字通「疾」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「疾風」の意味・わかりやすい解説

疾風
はやて

日本陸軍機を一貫して製造してきた中島飛行機が,それまでの経験を集大成して生み出した低翼単葉の戦闘機。制式名は四式戦闘機。 1941年末,第2次世界大戦の勃発直後に開発が始まり,わずか1年4ヵ月後の 1943年4月に初飛行,1944年春から量産に入り,終戦までの1年半で 3300~3500機を生産した。日本機としては最高速の飛行性能をもち,戦後アメリカ合衆国による試験飛行でも時速 689kmの高速をみせた。しかし敗戦間近の日本では燃料の質が悪く,製造時の工作不良,材質不良もあって,なかなか本領が発揮できなかった。甲型は,エンジン中島「誉」 (2000馬力) 1,全長 9.92m,全幅 11.24m,総重量 3570kg,最大速度時速 624km,実用上昇限度1万 500m。武装は 20mm機関砲2,12.7mm機関銃2。

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デジタル大辞泉プラス 「疾風」の解説

疾風(はやて)

第2次世界大戦時の日本軍の戦闘機「四式戦闘機」の愛称。初飛行は1943年。太平洋戦争の投入ながら約3,000機が生産され、「大東亜決戦機」などとも呼ばれた。一型甲の最高速度は時速631キロメートル。キ番号、キ84。連合軍によるコードネームは「フランク」。

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世界大百科事典(旧版)内の疾風の言及

【風】より

…梅雨の初めの黒い雨雲の下を吹く〈黒南風(くろはえ)〉,梅雨の最盛期の強い南風の〈荒南風(あらはえ)〉,梅雨明け後に吹く〈白南風(しらはえ∥しろはえ)〉などといわれる。 早手(はやて)疾風とも書き,〈疾風(しつぷう)〉〈陣風(じんぷう)〉ともいう。寒冷前線の通過に伴う突風で,しゅう雨を伴うこともある。…

※「疾風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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