ドモアブルの定理(読み)ドモアブルのていり(その他表記)de Moivre’s theorem

改訂新版 世界大百科事典 「ドモアブルの定理」の意味・わかりやすい解説

ド・モアブルの定理 (ドモアブルのていり)
de Moivre’s theorem

nを任意の整数(正でも負でもよいし0でもよい)とするとき,

 (cos θ+i sin θ)n=cos nθ+isin nθ

が成立する。これをド・モアブル定理といい,複素数三角関数とを結ぶ基本定理の一つである。これを用いると任意の複素数an乗根(nは自然数),すなわちznaとなるzが次のようにして求められる。a=0ならばz=0だからa≠0とすると,ar(cosθ+isin θ)(r>0)と表される。

 そこで,

 zR(cosφ+isinφ) (R>0) 

とおくと,znRn(cosnφ+isinnφ)となるから,znaとなるR,φを求めると,

を得る。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドモアブルの定理」の意味・わかりやすい解説

ド・モアブルの定理
どもあぶるのていり

複素数zを極形式で表してz=r(cosθ+isinθ)とすると
  z2=r2(cos2θ+isin2θ)
    ………………
  zn=rn(cosnθ+isinnθ)
となる。とくにr=1のときがド・モアブルの定理である。つまり、
  (cosθ+isinθ)n
    =cosnθ+isinnθ
これは、nゼロ、または負の整数のときにも成り立つ。

[寺田文行]

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百科事典マイペディア 「ドモアブルの定理」の意味・わかりやすい解説

ド・モアブルの定理【ドモアブルのていり】

iを虚数単位,θを任意の実数,nを任意の有理数とするとき(cos θ+i sin θ)(n/)=cos nθ+i sin nθという定理。複素数のべきべき根計算等に使われる。→ド・モアブル

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世界大百科事典(旧版)内のドモアブルの定理の言及

【三角関数】より

この加法定理から,次の2倍角の公式,3倍角の公式,半角の公式,正弦・余弦の積を和に変える公式,和を積に変える公式が導かれる。次の公式はド・モアブルの定理と呼ばれ,複素数の累乗,累乗根などの計算に使われる。nを正の整数,iを虚数単位とすると, (cosθ+isinθ)n=cosnθ+isinnθ
[単振動]
 図3において,OPが一定の角速度ωで回転しているとし,時間t=0のときθ=αであったとする。…

【ド・モアブル】より

…これは今日ド・モアブル=ラプラスの定理と呼ばれている。ド・モアブルの定理(公式)と呼ばれる式は,複素数と三角関数を結ぶ基本公式として有名である。【飛田 武幸】。…

【偏角】より

…とくに自然数nについて, (cosθ+isinθ)n=cos(nθ)+isin(nθ)となる。これをド・モアブルの定理(公式)という。【斎藤 裕】。…

※「ドモアブルの定理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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