日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナイ委員会」の意味・わかりやすい解説
ナイ委員会
ないいいんかい
第一次世界大戦におけるアメリカの参戦責任と軍需産業の関係が問題となるなかで、1934年に軍需産業調査のためアメリカ上院に設置された特別調査委員会をいう。ノース・ダコタ州出身のナイGerald Prentice Nye(1892―1971)上院議員がその委員長を務めた。35年に公刊されたその報告書は、第一次大戦中に一部の軍需産業や金融業者が戦争によって巨額の利益を受けたことを暴露するとともに、大戦に参戦したのは彼らの圧力と策動によるものだとの印象を与えた。後者についてはかならずしも決定的証拠が提示されたわけではなかったが、この調査結果は、国内の孤立主義的感情を高め、中立法制定(1935)への気運を形成することになった。
[藤本 博]