ナザレ人福音書(読み)ナザレびとふくいんしょ(その他表記)Gospel according to the Nazarites

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナザレ人福音書」の意味・わかりやすい解説

ナザレ人福音書
ナザレびとふくいんしょ
Gospel according to the Nazarites

100年頃成立したと思われる新約聖書外典の1つ。ヒエロニムスはこれを『ヘブル人福音書』と呼び,彼によれば,アラム語で書かれ,シリアナザレ派 (ユダヤ人キリスト教徒の一派) によって用いられており,『マタイによる福音書』の原テキストと思われていたという。一般に,クレメンス,オリゲネスらのいう『ヘブル人福音書』と同一視されているが,後者エジプトで成立,初めからギリシア語で書かれた2世紀のグノーシス的外典と考えられるから,両者は区別されるべきであろう。今日伝わる『ヘブル人福音書』の一部の断片は『ナザレ人福音書』に属すると考えられる。

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関連語 マタイ

世界大百科事典(旧版)内のナザレ人福音書の言及

【ナザレ人】より

…しかし《使徒行伝》24章5節はキリスト教徒への侮蔑的な呼称としての用法を示しており,またマンダ教徒たちはみずからを〈ナザレ派〉と呼んだ。教会史上ではこの名は,主として2世紀前半にシリア地方に起こったユダヤ教的キリスト者の一団を指しており,彼らは《マタイによる福音書》のアラム語版ともいうべき《ナザレ人福音書》を著して自派の正典としたようである。【青野 太潮】。…

※「ナザレ人福音書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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