マタイによる福音書(読み)マタイによるふくいんしょ(英語表記)Kata Matthaion; The Gospel According to Matthew

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マタイによる福音書」の意味・わかりやすい解説

マタイによる福音書
マタイによるふくいんしょ
Kata Matthaion; The Gospel According to Matthew

新約聖書4福音書の一つ。マルコルカの福音書とともに共観福音書と呼ばれる。内容はイエス系図,その生誕のいきさつ,バプテスマヨハネによる受洗,宣教活動,十字架上の死,そして復活についての記述のほか,山上の説教をはじめイエスの多くの言葉と説教を含むが,他の福音書に比してきわめて組織的であり,特に旧約との関係を強調し,教団的思考を重視している。イエスの生誕は「主が預言者によっていわれたことの成就」 (1・22) とされ,ユダヤの律法に関してはイエスは「律法を廃するためにではなく成就するためにきた」 (5・17) といわれている。著者は伝統的に使徒マタイとされてきたが,多くの伝承を素材としているところから,よりのちの作であり,むしろ旧約への言及によってキリスト教徒に改宗したユダヤ教徒であり,キリスト教に改宗したユダヤ人を対象としてこの書を著わしたものと考えられる。 65年から 100年の間,おそらく 70年以後にギリシア語で書かれ,『マルコによる福音書』に依拠したとする説が有力である。

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