改訂新版 世界大百科事典 「ナズムヒクメト」の意味・わかりやすい解説
ナズム・ヒクメト
Nazım Hikmet
生没年:1902-63
トルコの反体制的詩人。ヒクメトとも呼ばれる。テッサロニキの名家の出身。祖父も詩人として知られた。革命運動に参加して海軍兵学校を退学後,1921年モスクワ大学留学,マヤコーフスキーの知遇を得た。24年帰国してトルコ共産党に入党。25年反体制的詩作のため15年の刑を宣告され,ソ連に亡命した。28年バクーで最初の詩集を出版,同年帰国し,《絵入り月報Resimli Ay》誌に拠って文筆活動を行ったが,37年逮捕され,28年の刑に服す。1951年釈放とともにソ連に亡命,東欧諸国を遍歴してポーランド市民権を取得した後,モスクワで没。その自由詩はトルコ現代詩の流れを変え,平和運動を通じて高い国際的評価を得た。詩集《アナドル》《1+1=1》《ヒロシマ》のほか戯曲,小説もある。
執筆者:小山 皓一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報