デジタル大辞泉
「なりと」の意味・読み・例文・類語
なり‐と[副助・並助]
《断定の助動詞「なり」+接続助詞「と」から》名詞、名詞に準じる語、副詞、活用語の終止形、助詞などに付く。「なりとも」の形でも使う。
[副助]
1 いくつかあるもののうちの一つを、一応の例として示す意を表す。…でも。…だけでも。「見かけたときに声をかけるなりとしておけばよかった」
2 (「どこ」「だれ」「いつ」「なに」などの疑問語とともに用いて)漠然と指し示す、あるいは、特に限定しない意を表す。「だれなりと呼んでくれませんか」「何なりとお申しつけ下さい」→なと
[並助]どれか一つを選ぶ意を表す。「帰るなりと泊まるなりとお好きなように」→なと
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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なり‐と
- 〘 副詞助 〙
- ① =なりとも①
- [初出の実例]「路次でお茶なりと申さう物を」(出典:虎明本狂言・餠酒(室町末‐近世初))
- ② =なりとも②
- [初出の実例]「括り成と殺し成と勝手にしや」(出典:浄瑠璃・大経師昔暦(1715)上)
なりとの語誌
( 1 )語源については「なりとも」の「も」の落ちたものとする説もあるが、「待つ人にわきて聞かせば時鳥一声なりとうれしからまし〈頼円〉」〔月詣‐四〕などという言い方、すなわち断定の助動詞「なり」に接続助詞「と」の付いたものから転じたとするのが妥当か。
( 2 )この語は室町後期に現われ、江戸期に多く用いられるが、「なりとも」と同じように、近代に衰え、「何なりと」のような成句以外は用法が少なくなる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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