( 1 )語源は断定の助動詞「なり」に接続助詞「とも」の付いたもの。「設日本国の外なる新羅・高麗なりとも、雲のはて海のはてなりともをくれ奉るべからず」〔延慶本平家‐三末〕というような例から発して、中世末に断定の「なり」の勢力が衰えるとともに「なりとも」全体が一語の副助詞として働くようになったと思われる。その時期を明らかにすることはむずかしいが、①の挙例「史記抄」のような「を‐なりとも」は、すでに一語の助詞と認められる。
( 2 )この語は中世末・近世に多用されるが、近代には衰え、多くの場合「何なりとも」といった成句で使われる。